店舗の照明で後悔する前に!照明設計のプロが教える見落としがちな点

お店のオープン準備、順調に進んでいますか。内装や商品、サービスの準備は万端でも、照明のことまでじっくり考える時間はなかなかないかもしれません。なんとなく選んで設置したけれど、いざ明かりをつけてみたらイメージと違った、なんてことは避けたいですよね。お店の雰囲気は、照明ひとつで大きく変わります。お客様が心地よく過ごせるか、商品が魅力的に見えるか、実は照明がとても大切な役割を担っているのです。この記事では、店舗の照明で後悔しないために、見落としがちな点や基本的な考え方を、照明設計のプロの視点からわかりやすくお伝えします。少し立ち止まって、あなたの理想のお店にぴったりのあかりについて一緒に考えてみませんか。        

店舗の照明で後悔…よくある失敗パターンとは?

お店づくりで意外と見落とされがちなのが照明計画です。開店してから、こんなはずではなかった、と頭を抱えるオーナー様も少なくありません。ここでは、店舗照明で起こりがちな失敗のパターンをいくつかご紹介します。ご自身の計画と照らし合わせながら、確認してみてください。

思ったより暗い・明るすぎる照度の問題

まずよくあるのが、明るさ、つまり照度の問題です。例えば、落ち着いた雰囲気にしたくて照明を控えめにしたら、お客様からメニューの文字が見えにくい、商品がよくわからない、と言われてしまうことがあります。逆に、明るさを重視するあまり、まぶしすぎて目が疲れる、リラックスできない空間になってしまうことも。特に飲食店では、テーブルの上は料理が美味しく見える明るさを確保しつつ、空間全体は少し照度を落としてムードを演出するなど、場所に応じた明るさの調整が大切です。物販店でも、商品を際立たせるための明るさと、お客様が快適に回遊できる通路の明るさは異なります。ただ明るい、ただ暗い、ではなく、目的に合わせた適切な明るさを考えることが重要です。

お店の雰囲気と合わないデザインや光の色

照明器具そのもののデザインに惹かれて選んだものの、お店全体の雰囲気と調和がとれていない、というのもよくある失敗です。例えば、ナチュラルで温かみのある内装に、シャープで近代的なデザインの照明を合わせると、どこかちぐはぐな印象を与えてしまうかもしれません。また、光の色もお店の印象を大きく左右します。温かみのあるオレンジ色の光は、人をリラックスさせ、料理を美味しそうに見せる効果があります。一方で、すっきりとした白い光は、清潔感や爽やかさを演出し、商品の色を正確に見せたいアパレル店や美容室などに適しています。目指すお店のコンセプトと、照明のデザインや光の色が合っているか、改めて考えてみましょう。

電気代が高いなどランニングコストの見落とし

お店をオープンする際の初期費用に気を取られ、照明のランニングコストまで考えが及ばなかった、というケースも後悔につながります。デザイン性は高いけれど消費電力が大きい照明器具を選んでしまい、毎月の電気代の請求に驚くことも。また、電球の寿命も考慮すべき点です。交換頻度が高い電球は、その都度、購入費用や交換の手間がかかります。特に、天井が高い場所や取り付けが難しい場所の照明は、交換作業も一苦労です。初期費用だけでなく、数年単位の長期的な視点で、省エネ性能や寿命を考えた器具選びが大切になります。

スタッフが作業しにくいという声

お客様からの見え方ばかりを意識してしまい、働くスタッフの作業環境への配慮が欠けてしまうこともあります。例えば、レジカウンターの手元が暗くてお金の計算がしにくい、厨房の調理スペースが影になって作業がしづらい、といった問題です。お客様が過ごす空間はもちろん大切ですが、スタッフが安全かつ効率的に働ける環境を整えることも、お店の運営には不可欠です。デザイン性を損なわない範囲で、作業に必要な明るさを確保する工夫が求められます。スタッフの働きやすさは、サービスの質の向上にもつながる大切な要素なのです。 

なぜ照明選びで失敗してしまうのか

多くの方が良かれと思って選んだはずの照明で、なぜ後悔が生まれてしまうのでしょうか。その原因は、いくつかのポイントを見落としてしまうことにあります。ここでは、照明選びで失敗につながりやすい考え方や行動について、少し掘り下げて見ていきましょう。

空間全体のバランスを考えていない

失敗の大きな原因の一つは、照明器具を一つひとつ単体で見てしまい、空間全体のバランスを考えていないことです。例えば、カタログで見て素敵だと思ったペンダントライトを設置したけれど、天井の高さや部屋の広さと合っておらず、圧迫感が出てしまった、というようなケースです。照明は、壁や床の色、家具の配置、窓から入る自然光など、様々な要素と影響し合います。暗い色の壁は光を吸収しやすく、同じ照明でも部屋が暗く感じられることがあります。逆に、白い壁は光を反射するため、部屋が明るく感じられます。一つの照明だけでなく、空間全体を一つのキャンバスとして捉え、光と影のバランスを考える視点が大切です。

照明器具のデザインだけで選んでしまう

見た目のおしゃれさやデザイン性だけで照明器具を選んでしまうのも、失敗につながりやすい行動です。もちろん、デザインは空間の印象を決める重要な要素ですが、それ以上に大切なのが、その照明がどのような光を放つか、という機能面です。例えば、下方向だけを強く照らすスポットライトを部屋の主照明として選んでしまうと、天井付近が暗くなり、部屋全体が閉鎖的な印象になってしまうことがあります。また、シェードの素材や色によっても、光の広がり方や色合いは大きく変わります。デザインと同時に、その器具が持つ光の特性、つまり配光や明るさ、光の色をしっかりと確認することが、イメージ通りの空間をつくる鍵となります。

専門家ではない人に任せてしまうことのリスク

お店づくりでは、建築士や内装デザイナーに照明計画もまとめてお願いすることが多いかもしれません。もちろん、彼らは空間づくりの専門家ですが、必ずしも照明設計の専門家であるとは限りません。照明は、明るさの計算や配線の計画、最新の器具に関する知識など、非常に専門的な分野です。専門知識が不十分なまま計画を進めると、必要な場所にコンセントやスイッチがなかったり、明るさが足りなかったり、といった問題が後から発生することがあります。また、提案される照明器具が、特定のメーカーのものに限られてしまうことも。照明には照明の専門家がいます。その空間で人がどう過ごすのか、何を魅力的に見せたいのかを深く理解し、光を巧みに設計する専門家に相談しなかったことが、後悔の原因になることもあるのです。 

後悔しないための照明設計の基本

では、照明選びで後悔しないためには、どのようなことから考え始めれば良いのでしょうか。難しく考える必要はありません。いくつかの基本的なステップを踏むことで、計画の軸がしっかりと定まり、失敗のリスクを減らすことができます。ここでは、照明設計の土台となる基本的な考え方をご紹介します。

まずはお店のコンセプトを明確に

すべての基本となるのが、お店のコンセプトです。あなたのお店は、どんなお店ですか。誰に、どのような時間を過ごしてほしい場所なのでしょうか。例えば、友人同士でわいわい楽しむカジュアルな居酒屋なのか、大切な人と静かに過ごす隠れ家的なレストランなのか。コンセプトが違えば、求められる空間の雰囲気も、照明のあり方も全く異なります。高級感、アットホーム感、非日常感、清潔感。あなたのお店がお客様に与えたい印象を、具体的な言葉にしてみましょう。このコンセプトが、照明計画の道しるべになります。どんな照明器具を選ぶか、どんな明るさにするかを考える前に、まずはお店の原点に立ち返ってみることが大切です。

誰に、何を、どう見せたいかを考える

コンセプトが固まったら、次にもう少し具体的に、光の当て方を考えていきます。ポイントは、誰に、何を、どう見せたいか、です。誰に、というのは、メインターゲットとなるお客様のことです。若い世代向けのお店なら、写真映えするような印象的な照明が喜ばれるかもしれません。年配のお客様が多いお店なら、落ち着いた明るさで、足元やメニューが見やすい配慮が必要でしょう。何を、というのは、お店の主役となるものです。物販店なら特定の商品、飲食店ならテーブルの上の料理やカウンター席の様子かもしれません。その主役に光を当てることで、お客様の視線を集め、魅力を最大限に引き出すことができます。どう見せたいか、は演出の方法です。スポットライトでくっきりと浮かび上がらせて特別感を出すのか、柔らかい光で優しく包み込んでリラックスした雰囲気を作るのか。光の当て方一つで、モノや空間の表情は大きく変わります。

ゾーニングで空間にメリハリをつける

お店全体を均一な明るさで照らす、いわゆる一室一灯の考え方だけでは、のっぺりとした単調な空間になりがちです。そこでおすすめしたいのが、ゾーニングという考え方です。これは、空間を用途や目的に合わせていくつかの区域(ゾーン)に分け、それぞれに最適な照明を配置する手法です。例えば、カフェであれば、お客様がくつろぐ客席エリア、スタッフが作業するカウンターエリア、商品を陳列するエリア、通路など、異なる役割を持つゾーンがあります。客席は少し照度を落として落ち着いた雰囲気に、カウンターは手元が明るく作業しやすいように、商品棚は商品を魅力的に見せるように、といった具合に照明を使い分けるのです。明るい場所と少し暗い場所を作ることで、空間に奥行きとリズムが生まれます。お客様を自然に誘導したり、空間を広く感じさせたりする効果も期待できます。ゾーニングを意識することで、より機能的で心地よい空間づくりが可能になります。 

プロが教える照明選びで押さえるべき3つのこと

照明計画の基本がわかったところで、次は少し具体的に、照明器具を選ぶ際に知っておきたい専門的な知識についてお話しします。少し難しく聞こえるかもしれませんが、どれも理想の空間をつくるためには欠かせない要素です。ここでは、特に重要な3つのポイントに絞って、できるだけわかりやすくご説明します。

光の色を決める色温度(ケルビン)

光の色は、空間の雰囲気を決定づける非常に重要な要素です。この光の色合いは、色温度(いろおんど)という指標で表され、単位はケルビン(K)を使います。数値が低いほど暖色系のオレンジ色の光になり、数値が高くなるにつれて白色、さらに青みがかった光になります。一般的に、2700K前後の電球色は、夕日のような温かみのあるオレンジ色の光です。リラックス効果が高く、料理を美味しそうに見せるため、飲食店や住宅のリビングなどに向いています。4000K前後の温白色や5000K前後の昼白色は、太陽光に近い自然な白い光です。物の色を比較的忠実に再現するため、オフィスやアパレル店、美術館などでよく使われます。6500K前後の昼光色は、青みがかった爽やかな光です。集中力を高める効果があるとされ、勉強部屋や細かい作業をする場所に適していますが、店舗で使うと少し冷たい印象になることもあります。お店のコンセプトに合わせて、どの色温度が最適かを選びましょう。

色の見え方を左右する演色性(Ra)

演色性(えんしょくせい)とは、その照明の下で物を見たときに、自然光の下で見た場合と比べて、どのくらい色が忠実に再現されるかを示す指標です。平均演色評価数(Ra)という数値で表され、100に近いほど演色性が高い、つまり色の再現性が良いということになります。この演色性は、特に商品の色をお客様に正しく伝えたいお店にとって非常に重要です。例えば、アパレル店で服の色が店内で見た時と外で見た時で全然違って見えた、という経験はありませんか。これは、店内の照明の演色性が低いことが原因かもしれません。食品を扱うお店や化粧品売り場、美容室など、色が重要な判断基準となる場所では、Ra90以上の演色性が高い照明を選ぶことをおすすめします。せっかくの商品やサービスの価値を損なわないためにも、演色性にはぜひ注目してください。

光の広がり方を示す配光

配光(はいこう)とは、照明器具から光がどの方向に、どのくらいの強さで広がるかを示したものです。同じ明るさの電球でも、配光が違えば空間の印象は全く変わります。例えば、光が狭い範囲に集中するタイプはスポットライトなどに使われ、特定の物や場所を強調したいときに有効です。壁に飾った絵を照らしたり、商品のディスプレイを浮かび上がらせたりするのに適しています。一方、光が広い範囲に均一に広がるタイプは、空間全体を明るくしたい場合に使われます。天井に取り付けるシーリングライトやダウンライトなどがこれにあたります。この配光をうまく組み合わせることで、空間にメリハリをつけることができます。全体を照らす光と、ポイントを照らす光を使い分けて、光で空間をデザインするような意識を持つと、より魅力的なお店づくりができます。 

見落としがちなメンテナンスとコストの視点

理想の照明計画を立て、素敵なお店が完成しても、それで終わりではありません。お店を運営していく中で発生する、照明の維持管理についても、設計の段階から考えておくことが大切です。ここでは、つい見落としてしまいがちな、メンテナンスとコストに関する視点をご紹介します。

電球交換の手間や費用

照明器具がある限り、いつかは光源の寿命が来て、交換が必要になります。その交換の手間や費用を、あらかじめ考えておくことが重要です。特に、吹き抜けのような高い天井に設置した照明は、交換するのに専門の業者に依頼しなければならず、費用も時間もかかります。また、海外製のおしゃれな照明器具などは、専用の特殊な電球が必要な場合があります。その電球が手に入りにくかったり、価格が高かったりすると、維持していくのが大変になります。最近ではLED照明が主流になり、寿命が格段に長くなりました。初期費用は少し高くても、交換の手間や電球の購入費用を考えると、長い目で見れば経済的です。照明器具を選ぶ際には、デザインだけでなく、交換のしやすさや光源の寿命も確認しましょう。

掃除のしやすさも大切な要素

照明器具には、意外とホコリが溜まりやすいものです。特に、複雑なデザインのシャンデリアや、シェードの上部が開放されているペンダントライトなどは、定期的な掃除が欠かせません。掃除を怠ると、見た目が悪いだけでなく、ホコリが原因で明るさが落ちてしまうこともあります。飲食店など、特に衛生面に気を配る必要のある場所では、掃除のしやすさは照明器具選びの重要な基準になります。凹凸が少なく、拭き掃除がしやすいシンプルなデザインのものを選ぶといった配慮も必要です。お客様からは見えにくい部分ですが、お店を清潔に保つための大切な視点です。

省エネ性能で将来のコストを考える

お店の運営にかかる経費の中で、電気代は毎月必ず発生する固定費です。この電気代を少しでも抑えるために、照明器具の省エネ性能に注目しましょう。先ほども触れましたが、LED照明は、従来の白熱電球や蛍光灯に比べて、消費電力が大幅に少ないのが特徴です。同じ明るさを得るのに、かかる電気代を数分の一に抑えることも可能です。お店で使う照明の数は多く、点灯時間も長いため、一つひとつの器具の省エネ性能が、年間の電気代に大きく影響します。器具の購入費用といった初期投資だけでなく、これから何年、何十年とお店を続けていく上でのランニングコストを意識して、賢い照明選びを心がけましょう。 

店舗の照明設計なら有限会社ダイユーへ

ここまで、店舗照明で後悔しないための様々なポイントをお話ししてきました。コンセプトを考え、光の質を選び、メンテナンス性も考慮する。やるべきことが多くて、少し難しく感じられたかもしれません。もし、照明計画に不安を感じたり、専門家の意見を聞いてみたいと思われたりしたなら、ぜひ私たち有限会社ダイユーにご相談ください。

照明設計を専門とするデザイナーによるご提案

有限会社ダイユーは、照明の設計を専門に行う会社です。代表自身が照明デザイナーであり、豊富な知識と経験を持っています。私たちは、ただ照明器具を配置するだけではありません。お客様がお店に込めた想いやコンセプト、そこで過ごす人々の動きまでを丁寧にお伺いし、対話の中から最適な光の環境を導き出します。建築士や設計士が兼任するのではなく、照明のことだけを考え抜いてきた専門家だからこそできる、きめ細やかなご提案が可能です。

3Dシミュレーションで完成イメージを事前に確認

思ったより暗かった、明るすぎた、という失敗を防ぐために、私たちは3Dシミュレーションを活用しています。図面だけではわかりにくい実際の明るさの広がりや、照明をつけた時の空間の雰囲気を、完成前に立体的な映像でご確認いただけます。これにより、お客様とのイメージのズレをなくし、納得のいく照明計画を安心して進めることができます。また、事前に最適な配置を検討できるため、無駄な工事を防ぎ、結果的に費用の削減にもつながります。

どのメーカーの照明器具でも選択可能

ハウスメーカーや工務店によっては、提携している特定のメーカーの照明器具しか選べないことがあります。有限会社ダイユーでは、そうした制約は一切ありません。国内、海外を問わず、あらゆるメーカーの照明器具の中から、お客様のお店のコンセプトやご予算に最も合ったものを自由にお選びいただけます。豊富な選択肢の中から、あなただけの理想の空間にぴったりの照明を見つけるお手伝いをします。

他社のプランを診断するセカンドオピニオンも

すでに他の会社で照明計画を進めているけれど、本当にこの内容で良いのか少し不安、という方もいらっしゃるかもしれません。私たちは、照明に関するセカンドオピニオンのサービスも提供しています。現在ご検討中の設計図やお見積りなどを、照明の専門家の視点から客観的に拝見し、改善点や他の可能性についてアドバイスいたします。後悔のないお店づくりのために、どうぞお気軽にご利用ください。 

まとめ

お店の照明について、様々な角度から見てきましたが、いかがでしたでしょうか。照明は、ただ空間を明るくするための道具ではありません。お店のコンセプトを表現し、商品の魅力を引き立て、お客様やスタッフにとって心地よい時間を作り出す、とても大切な演出家のような存在です。なんとなく選んで後悔するのではなく、お店のコンセプトに立ち返り、誰に何をどう見せたいかを考えること。そして、光の色や色の見え方、広がり方といった専門的な視点も少し取り入れること。こうした一つひとつの積み重ねが、失敗しない照明計画につながります。もし、照明のことで迷ったり、もっと専門的なアドバイスが欲しくなったりした時には、一人で悩まずに専門家に相談するという選択肢があることも、ぜひ覚えておいてください。あなたの想いが詰まった大切なお店が、理想の光で満たされることを心から願っています。照明計画に関するご相談やご質問は、こちらからお気軽にお寄せください。 お問い合わせはこちら