建築プロジェクトにおいて、平均照度は設計の重要な要素の一つとして考慮されます。平均照度は、空間内の照明の均一性を示す指標で、通常はルクス(Lx)という単位で表されます。
設計事務所との打合せで、「平均照度はどうですか?」という質問が出ることはよくありますが、その意味と重要性について理解しておくことが必要です。
平均照度は、照明計画において空間内の明るさを均一に分布させるために使われます。これは、空間内の照度(照射面の明るさ)の合計を、その空間の広さと高さで割ったり掛けたりして求められます。
平均照度は、空間内の光の量を平均的に分布させるのに役立ち、建築物内の快適性と視覚的な魅力に大きな影響を与えます。
しかし、平均照度はあくまで数値であり、空間の雰囲気や照明効果を完全に表現するものではありません。実際、同じ平均照度でも、照明のデザインや配置によって空間の印象は大きく異なります。
これを説明するために、以下の2つの資料をご覧いただきます。
照明計画A


照明計画B


AとBの計画は、どちらも平均照度が175ルクス付近に設定しました。
しかし、Aは全体に均一な明るさを持っており、空間内の照度分布が一様です。
一方、Bはポイントに強弱をつけた照明計画で、特定の領域に光が集中しています。
この違いが示すのは、平均照度だけでは空間の雰囲気や視覚的な効果を完全に伝えきれないということです。
照明の強弱や方向性、光の色温度など、照明デザインの要素は、建築物や室内空間の雰囲気を形作る重要な要素となります。したがって、平均照度だけでなく、照明計画の詳細な設計も検討することが重要です。
建築プロジェクトにおいて、平均照度を理解し、適切に計画することは必要ですが、それだけでは空間の魅力を最大限に引き出すことは難しいことがあります。照明計画の全体像を把握し、デザインの要素を調整することで、建築物内の雰囲気をより魅力的にすることが可能となります。
建築と照明デザインの統合的なアプローチが、素晴らしい建築物と室内空間の創造につながるでしょう。
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